通信陶芸大学院研究科1年 奥村由未
台風24号が接近しつつある9月28日〜30日に楽制作会2018が田中良昭先生、中野悟朗先生のご指導の下、参加者12名で開催されました。3日間、それ程天候が荒れる事もなかったのは、皆の気合いと笑い声が台風の足を少し遅らせたからかもしれません。(最終日の朝はバタバタ解散でしたが…)
初参加の時は、還元時の炎と煙とラスター彩の煌めきに圧倒されてばかりでしたが、今回は土が焼き物となっていく様子を体感できました。懐中電灯で覗き見たふつふつと溶けていく釉の変化が面白かったです。野焼きの炎なども印象深いものでした。ただ、他の参加者の作品を、じっくり拝見する時間が無かったのが残念です。
楽しかったのはワイワイと話した夜。食べて飲んで…特に谷口さんの手打ち蕎麦が絶品でした。
次回開催までには、松端材で作ったあのヘラ一息でカッコイイ高台を出せる様に練習しておきます。
楽報告 中野悟朗
今回の講習会では楽茶碗とその高台に注目した制作を行いました。田中良昭さんの高台WSは松割木による道具作りから始り乾燥のタイミングを計りながら削りが行なわれました。陶土の乾燥を自分の都合に合わせるのではなく、あくまで陶土の状態を優先する!当たり前のことですが私達が忘れかけていた大切な姿勢が参加者に伝わったと思います。楽制作のもう一つの楽しみとして焼成があります。高温の窯から火ばさみで取り出した作品を木屑を還元剤とした密閉状態に数分置くことで、釉薬中の金属による発色が激しく変化します。また、急冷をかけるタイミングも変化を止める要素として重要です。通常の焼成は850度程度ですが、還元をかけやすい高温を保つために今回は900度迄昇温しました。いかに早く還元をかけるかが釉薬の変化に繋がるため温度ロスを減らすための方策です。それぞれ変化のある茶碗を手にされましたが黒釉の発色が思わしくなく紫がかった釉調となりました。おそらく釉の厚みが足らず発色剤のマンガン(紫に発色)が出たものと考えます。楽釉の魅力はラスターに代表される激しい変化だけではありません。透明、ブルー等の酸化した発色、赤土に施釉された釉調も見逃さないでください。