「台湾〝アーティスト・イン・レジデンス〟レポート」
田中哲也さん(通信陶芸コース2001年度卒業)
2017年1月23日から3月31日までの約2ヶ月間、台湾にある新北市立鶯歌陶瓷博物館の招待を受け、作陶をはじめレクチャーやワークショップの開催、ギャラリーでの個展など、現地に滞在して活動する機会がありました。博物館では年に15名ほどの作家を招待しており、光栄にも私はその内の1人に選ばれたという次第です。
作品は、焼き上がると透ける陶土に蛍光顔料を施しLED照明を当てた「透ける器」、在学中から取り組んでいる「鉄と陶器を組み合わせたもの」、「新しい感覚の信楽焼き」を三本柱としました。
現地で作陶した「透ける器」作品は、陶芸家しかできない現代美術とは何かを考え、器自体に光や音、時間など、カタチのないものや目に見えないものを捉えた「光を盛る器」というのが制作コンセプトです。
もう1つの「鉄と陶器を組み合わせた」作品は、金属やボルト&ナットで繋げていくことで、窯の大きさの制限から解放された今までにない陶芸を目指したものです。
制作した作品は博物館に寄贈するとともに、3月の最終週には台北市内のギャラリーにて、台湾初の個展「田中哲也的全(田中哲也の全て)」を行いました。個展開催にあたっては、なにが受け入れられるかわかりませんでしたが、日本から送った「新しい感覚の信楽焼き」作品と合わせ、自分の持っているスタイルをすべて見せることにしました。
ギャラリーのオーナーをはじめ台湾には親日家が多いせいか、私の作品についても現地の陶芸作家から一般の方々まで、熱心かつ興味をもって受け入れられたようでした。
これまで闇雲に作家活動を続けてきた面がありましたが、今回の滞在と個展を通して、
〝少しぼやけてた輪郭がクリアになった〟と自分自身で感じています。自分の作陶の方向性が解り始めたというところです。
新北市立鴬歌陶瓷博物館
http://jp.ceramics.ntpc.gov.tw
田中哲也Facebook
https://www.facebook.com/tetsuya.tanaka.756