谷口文子(2018年度 通信陶芸大学院修了生)
 

 まだ名残の桜が窓から見える「ウィングス京都」のセミナー室で4月8日、清水先生の退任記念講演会がありました。ご来賓に中ノ堂一信先生、竹村智之先生、叶貴夫先生、清水先生の奥様の清水修子様、恵風オーナーの野村恵子様を迎え、嶋田ケンジさんと田中哲也さんお二人のユーモアあふれる司会で終始楽しく進みました。

 清水先生の生まれる前の戦前の五条界隈の写真を見ながら、当時のやきもの屋の様子や代々続いてきた清水家の様子を伺うことができました。そしてその八代目として生まれたにもかかわらず、幼いころから家族の誰からも陶芸家になるようにと勧められたり、強制されることもなく自由にお育ちになったようです。そんな中、高校生の時に大阪万博でのパビリオンを見て、建築に魅かれていったそうです。その後、早稲田大学で建築を学ばれ、お父様の清水九兵衞さんとポルトガルに旅行した時は大いに建築への刺激になったということでした。きっと素晴らしい旅だったのだろうと思います。

 では、なぜ陶芸家になったのでしょうか。それは建築ではその一部にしか関われないけど、陶芸は一から十まで全部自分が関われるからだと聞いて、なるほどと納得しました。それで先生の作品は建築の要素と土の持つ柔らかさと焼成のときに生じるたわみで以って表現され、唯一無二のものになっているのだと思いました。

 先生のお人柄で和やかで穏やかで楽しい講演会となりました。100人近い参加者がありましたが、あちこちらから穏やかで楽しかった、参加してよかったという声が聞こえました。

 講演終了後、22年度で退任された竹村智之先生に同窓会から心ばかりの感謝の気持ちをお伝えすることができたのも、繋がりを大事にする陶芸コースならではの心温まるシーンでした。清水先生、竹村先生、長きに渡りお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。