2025年10月1日(水)─10月12日(日)
11:00-18:00/最終日17:00まで/定休日:月・火
ギャラリーまつい
大阪府吹田市古江台2-10-8
2025年10月22日(水)─27日(月)
11:00-17:00/最終日15:00まで
横浜みなとみらいギャラリー ギャラリーB
2025年11月5日(水)─16日(日)
11:00-18:00/最終日15:00まで/定休日:月・火
ギャラリーまつい
大阪府吹田市古江台2-10-8
「第16回通信教育課程卒業生・修了生全国公募展」陶芸同窓会主催作品講評会を終えて
久々の企画にあれこれ準備には多少手間取ったものの、何より積極的に作品を制作し、出品くださった皆さんの気持ちに応える為に出来る事は?と問いかけ開催に漕ぎ着けました。参加者は出品者以外に20名以上でした。
当日は、嶋田会長の緩やかな司会に始まり、各出品者の制作意図を聞いた後、かのう先生の鋭い目線や清水先生の穏やかな口調で講評される様子は中々見応えのある風景でした。周りの聴衆も思わず体を乗り出し作品の細部まで覗き込む姿が何度も見れました。
土に対峙し、作品に向き合う時は大体1人で孤独な時間です。稍もすると煮詰まり、進むべき方向を見失ったり、悩んだりする事は日常かも知れません。経験で解決出来る事も有りますが、他の目で見て貰うのも大切な機会だと思っています。
一人一人丁寧に講評されるのはそんな簡単な事ではない筈です。
専任のかのうたかお先生、並びにゲストで講評をお願いした清水六兵衞先生には心より御礼申し上げます。
また、公募展と同時開催されていた「アートマルシェ」には長野の中野姉妹が楽しい作品を沢山出品されていました。彼女達の積極性にはいつも頭が下がります。
最後になりましたが、今回の講評会開催に当たり、大学事務局担当の方にもあれこれアドバイスを頂き、大変お世話になりました。お陰様で無事に開催出来ました。この場を借りて御礼申し上げます。
陶芸同窓会 副会長 田中良昭
同窓会会員の皆様へ
昨年春、私たちの尊敬する恩師林秀行先生が、永遠の旅に出られました。
先生は40年余りの間、私たちの学び舎で多くのことを教えてくださりました。
陶芸同窓会では一昨年秋から先生のインタビューを企画しておりましたが、直前にお怪我で入院
され、ご家族のお力を借りて質問にお答え頂いた次第です。
先生が私たちに伝えたかった思いや、教育への情熱、作品創作の意欲、作家として歩んだ道や、
人生観についてお話しいただきました。
先生のストレートな思いや、お気持ちが詰まったメッセージを、ぜひご一読ください。
末筆ながら、日常にかまけて、この記事掲載までに必要以上の時間を要してしまいました事、ご
協力頂いたご親族はじめ、皆さまには大変申し訳なく、心よりお詫び申し上げます。何卒ご容赦
くださいますようよろしくお願い致します。
陶芸同窓会会長 嶋田ケンジ
2025.9
2024.3.12
・先生が陶芸を生業とするご家庭に育ち、作陶することを仕事として選ぶ切っ掛けなどをお聞かせください。
○ 当時は、長男が家業を継ぐという、言わば理不尽な理由で父親の仕事を手伝っていたんです。
大学生の時、辻晋堂(※1)さんの勧めで「二紀会(※2)」に入って毎年京都市美術館の展覧会に出品していたんですが、家の仕事で手が一杯で「二科会(※3)」に出品していなかった29歳の時、展覧会をやっていた走泥社の八木一夫(※4)さんの誘いで気軽に走泥社に入りました。
当時の五条坂は、登り窯を焼くのは組合のような格好で、それぞれの陶器屋さんが、一ヶ月かかって作った作品や器を決まった日に焼く。その昔は「親の死に目にも会えない」などとも言われていました。
父親の仕事をやっていた時分には電気窯やガス窯になって個人個人で焼けるようになってました。登り窯で決まった日に焼くのが、個人で焼くようになり、形態が一変しましたね。
・お若い頃(学生時代など)の作陶活動やエピソード、好きな作家など教えてください。
○ 京都市立芸大4回生の時に「二紀会」で賞を貰いました。親の仕事をしながら時間を見つけて鉄などの材料で彫刻を作っていました。学生時代は彫刻に憧れていたけれど、25歳で結婚して生活のために食べていかんならん、彫刻は生活から解離しているという思いがあって…この複合的なことがあって走泥社に入ったときは、自然体で仕
事ができるようになりました。
36歳の時「日本陶芸展(※5)」で文部大臣賞を受賞した事が大きな飛躍のきっかけになりました。走泥社に入ったことに後悔はない。八木一夫さん、辻晋堂さんのお陰です。
好きなアーティストはブラック、ブランクーシ…ブラックはちょっと控えめなところ。須田国太郎、京大を出て、ヨーロッパで画業を積み、ブラックに通じるところがある…
・教員としてのご経験や通信教育部の立ち上げ時のエピソードなどお聞かせください
○ 大事なのは「自分に嘘をつかない」「作品、学生に正面から取り組む」この二つは大きな柱と言ってもいいでしょう。
通信教育は訳の分からないところから始めたのが良かったんじゃないかと思います。
人間関係で一度大学を辞めていたのですが、陶芸コースを作り直して欲しいという話があって、それに当たり、自分の思うように正直に取り組むことを前提にすることを約束して…自分の思うような学校にしたい…お互いに真剣勝負で臨みたいという思いやねぇ。通信教育部では通学部で出来ない事をやりたいとも思いました。取り分け学生とのコミュニケーションを大切にする、お互い出会って良かったと思えるようにしたいと。
学内では、学生それぞれ個人としての文化が集まるフォーラムのような雰囲気の中で自由に作陶する。教員と学生との距離、学生同士の距離を縮めるように懇親会や学外学習をやることにしたんです。学外スクーリングで違う窯の焼き物を焼く、2泊3日で窯焚きをするなかで、お互い自由に言い合う雰囲気ができ、人間関係の濃密さが生まれる。卒業後も作陶の活動で繋がっているのは本当に嬉しいことやねえ。
・現在の作品やこれからについてお聞かせください。特に陶胎漆器についてなど?
○ 何年か前に東京の博物館で見た「陶胎漆器」を見て面白いなあと思っていたんです。調べたら縄文時代からあると…たまたま僕の友達の松井くん(※6)がやっていて「松っちゃん教えてくれよ」と言って、教えて貰いに行って…まあ本格的では無いんやけど、どこに魅力があるのか具体的には分かりませんけど、面白そうやなと思ってやり出したんです。まぁいつもの僕のひとつのパターンではあるんやけど…「同じことやっても面白ないや」…何か本格的ではないけど面白い可能性を感じた訳やね。なんか作品の中にね、漆を塗る部分との対比やね。相対的やね…ひとつの事に嵌らずに…類似かな…類似性の中に何か新しいものが出てくるという風に僕は思ってるんです。そこからまた新しい次の文化が芽生えるであろうと思ってるんです。
おんなじ事やってても人間が日々新陳代謝して新しい細胞が生まれる。いつもそんな感じで仕事するんやけどね。 まあ道半ばというかほんの入り口やね。
・これからの人たちにメッセージがあれば
○ 若い人にというと大袈裟になりますけども、上手に小手先で仕事をするのが非常に増えています。え〜それはまあ個々の条件があってそうなってるんやろと思うけど、若い人を含めてやけど…なんか手先の仕事なんやね。そうではなしにもっと五感を研ぎ澄まして仕事をするということが大事やろうと…
心を揺さぶるような仕事にお目にかかることはほぼ無いに等しいと思う。まあ僕を含めてということかも分からんけど やっぱり人の心というか気持ちを揺さぶるような仕事をして欲しいなあ…僕も含めて…なんか今お互いに、ほらええ意味での丁丁発止と違って、多少の妥協と言うか、なあなあでやってるとこありますよね。そうじゃなしにもうちょっと走泥社が最初に掲げた志しのような…
・先生のお好きな言葉の「書生の心意気」とでも言うんですかね?
そうやねぇ…なかなかうまいこと表現できひん…おんなじこと繰り返してんのかも分からんけどな…堂々巡りちゃうかなと思うんやけどね、初めから仕舞いまで。まあそんなとこやろ
・長時間にわたり、ありがとうございました。
(10分54秒)
※
1 辻晋堂氏(1910〜1981)彫刻家、京都市立芸術大学名誉教授
2 二紀会 一般社団法人二紀会、日本の美術団体で公募展である二紀展を主催
3 二科会 公益社団法人二科会、日本の美術団体で絵画部、彫刻部など二科展を主催
4 八木一夫氏(1918〜1979)陶芸家、前衛陶芸集団「走泥社」を結成
5 日本陶芸展 (1971〜2019)毎日新聞社主催の全国公募展 2019年第25回展で終了
6 松井利夫氏(1955〜)陶芸家、京都芸術大学教授、滋賀県立陶芸の森館長
第16回通信教育課程卒業生・修了生全国公募展 講評会のお知らせ
令和7年8月吉日
陶芸同窓会会長 嶋田ケンジ
陶芸同窓会会長の嶋田ケンジと申します。
毎日、茹だるような暑さが続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか?
8月23日(土)全国公募展の最終日に開催します講評会についてお知らせ致します。
陶芸同窓会では、コロナ禍以前から講評会を開催しております。
今年は専任の先生に加えて、ゲストとして清水六兵衞先生をお招きし、講評をして頂く事になりま
した。
講評会後には、先生方のお時間許す限り、制作に関するご質問などの時間を持てればと思ってお
ります。
卒業生・在学生どなたでもご参加頂けますので皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
■ 日時:令和7年8月23日(土)
・13:00~14:00 講評会(会場:大学オーブ)
・14:00~ 質問コーナー
◼ 講師:清水六兵衞先生、かのうたかお先生
※参加申込は不要です。お気軽にご参加ください。
※23日11:00からギャルリ・オーブエントランスではアートマルシェが開催されています。
⚠ 講評中の動画撮影及びYouTubeなど動画配信サイトへの投稿は禁止とさせていただきます。何
卒ご理解ください。
是非、沢山の方々ご参加いただきます様よろしくお願い致します。
●第16回通信教育課程卒業生・修了生全国公募展
◇日時:8月17日(日)~8月23日(土)11:00~18:00 ※最終日のみ16:00閉廊
◇会場:京都瓜生山キャンパス ギャルリ・オーブ
※来場自由(出展には事前申込が必要)
▼https://air-u.community.kyoto-art.ac.jp/#/topic-details/82312
●アートマルシェ
◇日時:8月23日(土)11:00~19:00
◇会場:京都瓜生山キャンパス ギャルリ・オーブ
※来場自由(出展には事前申込が必要)
▼https://air-u.community.kyoto-art.ac.jp/#/topic-details/82432
●特別講義
◇日時:8月23日(土)14:30~16:00(予定)
◇会場:京都瓜生山キャンパス ギャルリ・オーブ※来場+オンライン(YouTube)
◇講師:田口かおり先生(京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。保存修復学、美術史、表象文化論専攻)
●瓜生山懇親会
◇日時:8月23日(土)17:00~19:00(予定)
◇会場:京都瓜生山キャンパス ギャルリ・オーブ※来場+オンライン(YouTube)
◇プログラム:公募展授賞式*、クイズ大会など
*大賞1点、優秀賞(同窓会賞)2点を表彰
【オンライン配信について】
特別講義・懇親会の模様をオンライン(YouTube)配信します。
オンライン配信を視聴される場合は、申込不要です。視聴用URLは後日お知らせいたします。
<お問い合わせ>
京都芸術大学通信教育課程 学務課
e-mail:question@air-u.kyoto-art.ac.jp/コンシェルジュ
主催:京都芸術大学 通信教育課程 企画:京都芸術大学 通信教育部学生委員会
2024年3月29日、京都芸術短期大学、京都造形芸術大学でのご指導と通信教育部の起ち上げにも尽力された林秀行先生がご逝去されました。
生前のご厚誼に心より感謝するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。
お通夜 4月1日(月) 18:00~
告別式 4月2日(火) 13:00~
場所:公益社中央ブライトホール
〒605-0846 京都市東山区五条橋東3丁目390
075-551-5555
みなさん、初めまして。2023年度から、京都芸術大学通信教育部陶芸コースの専任講師に着任しました、「かのうたかお」です。よろしくお願いします。
新人の講師が来たということで、名前を見て、まずはネットで検索された方もおられるんじゃないかと思います。で、出てくるのは怪しい風貌の写真ばかり。なんだこいつは?と思われた方も多いと思います。決して怪しいものではありませんので、まずは自己紹介を。
1974年、京都の生まれです。生家は陶磁器を生業としている家で、叶松谷(ご存じの方もおられるかもしれませんね)という窯元です。少年時代から、決して運動神経は良くないものの、走り回ったりイタズラしたり色々な事に手を出すのが好きな子供でした。その頃から時々、仕事をしている祖父や父の後ろで黙々と土を触って何かを作ったりもしていました。
そのまま小中高と、順調にスクスクと成長し、京都精華大学美術学部造形学科陶芸に入学し、陶芸を学び始めます。学び始めたはいいものの、大学生活を楽しみ過ぎて、部活やバイト、学業以外に力を入れている、そんな典型的な大学生でした。楽しい学生生活も4年目を迎え、モラトリアムをさらに楽しむために大学院を受験しようか、なんて考えていた時に、高校時代からずっと気になっていた『青年海外協力隊』の存在が改めて大きくなってきて、とりあえず応募して受験。結果は運良く合格で、それまでの自分の人生でも聞いたことのなかった西アフリカのニジェール共和国という国へ赴任することに。自分の中ではこの協力隊での2年半が大きな経験となりました。
任期を終えての帰国後から、実家の工房の一画を使わせてもらいつつ自分の制作をはじめるのですが、この時に、大学4年間で真面目に陶芸と向き合わなかったことを大いに後悔し、技術や知識など、必要な事を少しずつ身につけていきました。
自分の作品の制作や売り込みなどをしながら作家活動が始まっていきました。当時は自分の作品だけではなく、作家さんの制作のお手伝いや展示のお手伝い、窯焚きなどにも押しかけて行ったりしていました。そんな中、母校の京都精華大学からお声がけいただいて、助手になり、僕の教員生活への道が始まりました。その後は色々な大学や専門学校で非常勤講師の仕事を続けたのですが、陶芸の授業だけではなく、大きな意味でのデザインについての授業なんかも担当していました。
こういった様々な経験をしつつ、今年度より京都芸術大学通信教育部陶芸コースの専任講師に着任しました。
少し、作品の話もしておこうと思います。
作品は造形的な作品や日常使いの器など、様々なものを作っています。
その中でも、僕の代表作と言えるものが「天アリ」というシリーズです。壺の形をしたものは「壺中天アリ」、茶盌の形をしたものは「掌中天アリ」といった様に、対象によってタイトルは少し変わるのですが、この「天アリ」のシリーズが僕の作品としてよく知っていただいていると思います。このシリーズは、粘土ではなくシャモットを用いて作られている作品です。シャモットを焼き固める事で塊状のものとなっており、塊としてその形が何であるか、は認識できますが、外部と内部が絡み合い、不思議な造形となっています。社本が材料という事で、いわゆる陶芸作品とは違った表情になっています。
他にも、野焼きのシリーズや、蓄光素材を焼き付けたもの、陶にメッキを施したものなど色々と取り組んでいます。既存の価値観にとらわれない事や実験的な事なんかが大好きで、自分の作品の中にもそういった要素が含まれていると思います。
色々な事に興味を持って、色々な事に手を出して、失敗も多い僕ですが、僕だからできる様な考え方でこれからの陶芸コースを盛り上げていきたいと思っています。
まだまだ至らない事はあるかと思いますが、よろしくお願いします!